東京都府中市に位置する日華斎場(多磨葬祭場)は、大正時代からの歴史を持つ格式高い民間斎場です。多磨霊園に隣接する静謐な環境と、大規模な葬儀から家族葬まで対応できる設備の充実度から、多くの著名人の見送りにも利用されてきました。しかし、民間運営であるため、公営斎場とは異なる独自の料金体系を持っており、初めて利用されるご遺族にとっては「どのプランを選べばよいのか」「費用に見合った違いは何なのか」と戸惑うことも少なくありません。
特に火葬料に関しては、「最上等」「特別室」「特別殯館」という3つのグレードが存在し、それぞれ価格もサービス内容も大きく異なります。単に高い・安いだけでなく、最後のお別れの時間をどのように過ごしたいかによって、適切な選択は変わってきます。
本コラムでは、日華斎場の火葬料金の詳細をグレード別に徹底解説します。それぞれの設備の違いや、選択の判断基準、さらにはトータルコストを抑えるためのポイントまで、プロの視点から分かりやすく紐解いていきます。
日華斎場の火葬料金体系:全体像とグレードの種類
まず、日華斎場の火葬料金の全体像を把握しましょう。公営斎場であれば市民か否かで料金が変わるのが一般的ですが、日華斎場は民間企業が運営しているため、居住地による料金の差別化はありません。どなたでも一律の料金で、平等に高品質なサービスを受けることができます。
現在、日華斎場で設定されている火葬炉のグレードと料金(非課税)は以下の通りです。
| 火葬炉の等級 | 大人(12歳以上) | 小人(12歳未満) |
|---|---|---|
| 特別殯館(とくべつひんかん) | 170,000円 | 90,000円 |
| 特別室 | 120,000円 | 50,000円 |
| 最上等(標準) | 90,000円 | 42,000円 |
このように、標準的な「最上等」と比較して、「特別室」は約3万円プラス、「特別殯館」は約8万円プラスという価格設定になっています。この金額差は、単に焼却能力の違いではなく、主に「お別れをする空間の質」「プライバシーへの配慮」「収骨時の環境」に対する対価となります。
次章からは、それぞれのグレードが具体的にどのような設備やサービスを提供しているのか、詳細を見ていきましょう。まずは最も多くの方が利用される標準プランからです。
標準グレード「最上等」の特徴と選ばれる理由
「最上等(さいじょうとう)」という名称ですが、日華斎場においてはこれが標準的なプラン(ベーシックプラン)に位置付けられます。一般的な葬儀、特に予算を重視する家族葬や一般葬の多くでこのグレードが選ばれています。
「標準」といっても、日華斎場は歴史ある施設ですので、決して粗末な扱いを受けるわけではありません。炉前(ろまえ)での最後のお別れ焼香、そして収骨までの一連の流れは、厳粛な雰囲気の中で丁寧に行われます。
最上等が選ばれるケース
- 費用を抑えたい場合:葬儀全体の予算の中で、火葬料よりも祭壇やお料理に費用をかけたいと考えるご遺族に適しています。
- 公的な補助を利用する場合:区民葬などの制度を利用する場合、この最上等のランクが適用されることが一般的です(※区民葬利用時は別途協定料金が適用され、さらに安価になる場合があります)。
ただし、最上等の場合、収骨室や炉前のスペースは他のご遺家と共有のエリアに近い構造となっているため、混雑時には多少の慌ただしさを感じる可能性があります。「静かに見送りたいが、費用も抑えたい」というジレンマがある場合、次に紹介する上位グレードとの比較検討が重要になります。
東京葬儀は、日華斎場のメリットを活かし、ご予算を抑えつつも心のこもった葬儀を提供いたします。

ミドルクラス「特別室」の価格設定とコストパフォーマンス
「特別室」は、標準の最上等よりもワンランク上のグレードです。料金は大人120,000円となり、最上等との差額は30,000円です。この3万円の差額で得られるメリットは、主に「専用の収骨室」と「ゆとりある空間」にあります。
最上等では、収骨の際に他のご葬家とタイミングが重なると、どうしても周囲の音が気になったり、移動の動線が交錯したりすることがあります。しかし特別室を選択すると、専用の区画が用意されるため、他家の視線を気にすることなく、ご遺族だけで落ち着いてお骨上げを行うことができます。
特別室がおすすめの方
- プライバシーを重視したい方:最後のお別れの時間を、家族水入らずで静かに過ごしたいご遺族。
- ご高齢の参列者がいる場合:移動や待機において、周囲に気を使わずに済む環境は、参列者の疲労軽減にもつながります。
- 程よい特別感を出したい方:最上級までは必要ないが、標準よりも少し手厚い環境で故人様を送ってあげたいという想いがある場合。
3万円という差額で、精神的な落ち着きとプライバシーが確保できるため、実は非常にコストパフォーマンスが高い選択肢として人気があります。
さて、ここまでは標準とミドルクラスを見てきましたが、日華斎場にはこれらを遥かに凌ぐ最上級のグレードが存在します。次章でその全貌に迫ります。
最上級「特別殯館」の全貌:17万円の価値とは
日華斎場における最高峰のグレード、それが「特別殯館(とくべつひんかん)」です。料金は大人170,000円と、標準プランの倍近い設定になっていますが、それに見合うだけの圧倒的な格式と設備が用意されています。
特別殯館を利用する場合、専用の入り口から、まるで高級ホテルのようなロビー、そして広々とした専用の告別室・収骨室へと案内されます。一般の利用者とは動線が完全に分離されているため、著名人の葬儀や、多数の参列者が見込まれる社葬などで利用されることが多いですが、近年では「最後だからこそ最高のもので送りたい」という一般のご家庭での利用も増えています。
特別殯館だけの特別な体験
- 完全個室の待合空間:火葬中の待ち時間を過ごす部屋も、専用の豪華な特別室が割り当てられることが多く(※プランや契約によります)、他者と顔を合わせることが一切ありません。
- 装飾と雰囲気:内装には重厚な石材や調度品が使われており、美術館のような静寂の中で故人様との最後の対話を行えます。
- 専属スタッフの対応:特別殯館専属のスタッフが配置され、きめ細やかなアテンドを行います。
「火葬」という行為自体は変わりませんが、そこに至るまでのプロセスや空間がもたらす「心の安らぎ」には大きな違いがあります。金銭的な余裕がある場合、あるいは故人様の社会的地位や生前の希望を尊重する場合、この特別殯館は唯一無二の選択肢となります。
しかし、葬儀にかかる費用は火葬料だけではありません。グレードを上げることで発生するかもしれない「付帯費用」についても注意が必要です。
火葬料以外に必要な費用:休憩室と保管料
火葬のグレードを選ぶ際、セットで考えなければならないのが「休憩室(待合室)」と「保管料」です。日華斎場では、火葬料とは別にこれらの施設利用料が発生します。
休憩室の料金とグレードの関連性
火葬中の約1時間〜1時間半を過ごす休憩室も、人数やグレードによって料金が異なります。
- 特等(小個室):約15,000円〜20,000円
- 星・雪(中広間):約30,000円前後
注意点として、火葬炉で「特別殯館」を選んだ場合、待合室もそれに釣り合うランクの部屋(または専用室)を案内されることが一般的です。火葬料だけでなく、待合室料も含めたトータルコストで予算を組む必要があります。
ご遺体の保管料
葬儀まで数日空く場合に必要な霊安室(保棺室)の使用料は、1日あたり約9,000円〜10,000円です。特別殯館のような人気グレードは予約が埋まりにくい傾向にありますが、逆に標準炉が満杯で数日待ちが発生する場合、保管料がかさむことで結果的に費用差が縮まるケースも稀にあります。予約状況を含めた総合的な判断が大切です。
公営斎場や区民葬利用時の料金差:賢い選び方
日華斎場を検討する中で、「公営斎場の方が安いのではないか」という疑問を持つ方も多いでしょう。確かに、近隣の「府中の森市民聖苑」や「南多摩斎場」などは、市民であれば火葬料が無料〜数万円程度で済みます。
しかし、公営斎場には厳格な「居住地制限」があり、故人または喪主が対象地域に住んでいなければ利用できません(または高額な市外料金がかかります)。一方、日華斎場は誰でも利用でき、さらに23区の「区民葬」制度を利用すれば、最上等の火葬料が59,600円(※最新の協定料金要確認)に減額されるメリットがあります。
「自分はどの制度を使えるのか」「公営と日華斎場、どちらがトータルで得策か」は、個々の事情によって異なります。単純な料金表の比較だけでなく、交通アクセスや予約の取りやすさも含めて検討することが、賢い選び方と言えるでしょう。
それでは実際に、日華斎場のグレードごとの違いを活かして行われた葬儀の事例を見てみましょう。
[日華斎場]での葬儀事例:[東京葬儀]によるサポート内容
ここでは、実際に東京葬儀がサポートさせていただいた、日華斎場での葬儀事例をご紹介します。ご遺族が「どのグレードを選ぶか」に悩み、最終的にどのような決断をされたのか、その背景と結果をお伝えします。
事例:小金井市在住 80代女性の家族葬
【ご相談内容】
「母は生前、静かな場所が好きでした。派手な葬儀は望んでいませんでしたが、最後のお別れだけは、家族だけでゆっくりと時間をかけたいと思っています。ただ、予算に限りがあり、一番高い特別殯館にするべきか悩んでいます」
【東京葬儀からのご提案】
ご予算とご要望のバランスを考慮し、今回は「特別室」をご提案しました。最上級の特別殯館ほどのコストはかかりませんが、標準の最上等とは異なり、専用の収骨室が確保できるため、「静かにお別れしたい」という一番の願いを叶えられると判断したからです。
【当日の様子】
当日は天候にも恵まれ、多磨霊園の緑が美しい日でした。特別室専用のエリアは非常に静かで、他家の喧騒を感じることなく、お孫様たちが故人様の手を握り、ゆっくりと言葉をかける時間が持てました。収骨の際も、係員の丁寧な案内のもと、急かされることなく一つひとつのお骨を拾うことができました。
【ご遺族の声】
「最初は『真ん中のランクで中途半端にならないか』と心配でしたが、結果的に大正解でした。3万円の差でこれだけ落ち着いた環境が得られるなら、母も喜んでくれていると思います。無理に高いプランを勧めず、私たちの想いに寄り添った提案をしてくれた東京葬儀さんに感謝しています」
このように、必ずしも最高級を選ぶことが正解とは限りません。ご遺族の「大切にしたいポイント」を見極め、最適なグレードを選ぶことが満足度の高い葬儀につながります。
まとめ:後悔しないグレード選びのために
本コラムでは、日華斎場(多磨葬祭場)の火葬料金について、「最上等」「特別室」「特別殯館」の違いを中心に解説してきました。改めて、グレード選びのポイントを整理します。
- 最上等(90,000円):費用を抑えたい方、区民葬を利用する方、標準的な葬儀で十分と考える方に最適です。
- 特別室(120,000円):プラス3万円でプライバシーと専用空間を確保。コストパフォーマンスと満足度のバランスが最も良い選択肢です。
- 特別殯館(170,000円):圧倒的な格式と完全なプライベート空間。VIP対応や、最高のおもてなしで故人を送りたい方向けです。
火葬はやり直しのきかない一度きりの儀式です。料金の多寡だけでなく、「その空間でどのような時間を過ごしたいか」をイメージして選ぶことが大切です。もし選択に迷われた際は、日華斎場の設備を熟知した東京葬儀へご相談ください。ご予算とご希望に合わせた、最適なプランをご提案させていただきます。